【学部・学年の指定】 全学 主に3・4年生を対象とする
【教育課程の中でも位置づけ】企業と社会にかかわる専門科目は他にないので、ここで基礎から学び、最新の動向・議論についても理解を深めていくことにする。
【授業の目的・達成目標】
企業を社会との関係の中で広く理解する視点、考え方を身につけることを目標とする。授業は講義形式で行う。
【講義内容】
企業の経済活動は、常に社会・政治・文化・国際関係といった領域と相互作用的にかかわっている。また企業は経済的システムであると同時に、社会的・政治的システムとしても大きな役割と影響力をもった存在となっている。本講義では、企業を社会経済システムの中に位置づけ、企業と社会のインターフェイスにおける生じている新しい問題群を検討していくことにする。企業と社会の関係を理解するには、社会の側から企業に働きかける方向(new
social movement)と、企業の側から社会に働きかける方向(corporate social involvement)の両方向からみていくことが大切である。企業と社会の関係は、90年代以降ローカル・レベル/グローバル・レベルにおいて大きな変化・展開が見られる。講義では、時代の潮流、最近の動きを追いながら、そのアウトラインを講義し考えていくことにする。またCivil
Society Organization(CSO)であるNPO/NGOについての理解も必要であるので、講義の中で扱っていくことにする。
講義はおおむね次の4つのモジュールから組み立てていく。
Ⅰ.企業の社会的責任とは:企業システムの捉え方、社会的責任論
Ⅱ.NPO/NGOとは何か:NPO基礎論、ソーシャル・アントレプレナー
Ⅲ.企業とステイクホルダーとのかかわり:企業と社会の関係、ステイクホルダー・リレーションズ、企業とNPOとの関係
Ⅳ.企業評価のあり方:社会的責任投資(SRI)、CSR調達、企業評価の変化
【講義計画】
* イントロダクション (1回目:12:55~、2回目:13:40~) 4/12
Ⅰ.企業システムとは何か
(1)企業の社会的責任論(Corporate Social Responsibility:CSR)Ⅰ(企業システムをどう捉えるか、社会的責任論:従来の議論)
4/19
(2)CSRⅡ(近年のグローバルな潮流、わが国の動き) 4/26
参考書:谷本(2002)第1章、第3章、第4章、第9章、 谷本(2004)第1章
参考文献:谷本『企業権力の社会的制御』(第4章)千倉書房、1987. 谷本「企業社会論」一橋大学商学部経営学部門編『経営学概論』税務経理協会、1999.
J.E.Post, A.T.Lawrence, & J.Weber, Business and Society,
McGraw Hill, 1999. G.A.Steiner et al, Business, Government
and Society, McGraw Hill, 2000.A.T.Lawrence, J.Weber, &
J.E.Post, Business and Society, 11th ed , McGraw Hill, 2005.
EU:CSRに関するグリーンペーパー;Green Paper: Promoting a European framework
for Corporate Social Responsibility (18/07/2001)、 CSRに関するホワイトペーパー;Communication
on Corporate Social Responsibility :A business contribution
to Sustainable Development (02/07/2002)…これらはEU のページにあるhttp://europa.eu.int/comm/employment_social/soc-dial/csr/index.htm
イギリスのDTI(貿易産業省)の出したCSRに関するペーパー;Corporate Social Responsibility:
A Government Update, 2004…これはdtiのページにあるhttp://www.csr.gov.uk/pdf/dti_csr_final.pdf
関連サイト:[Business for Social Resposibility:社会的に責任ある企業行動を考える企業者ネットワーク]
http://www.bsr.org [Net Impact:CSRを考えるアメリカの学生ネットワーク] http://www.net-impact.org
経済同友会(第15回 企業白書)http://www.doyukai.or.jp
[日本経団連]http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/csr.html
Ⅱ.NPO/NGOとは何か
(1)NPO/NGO基礎論(背景、役割・機能、企業との比較) 5/10
(2)ソーシャル・エンタープライズ(社会的ミッションをもった事業体の台頭) 5/17
参考書:谷本(2002)第8章、第14章
参考文献:谷本「企業とNPOのフォア・フロント-「NPOと経営学」その新しい課題-」奥林他編『NPOと経営学』中央経済社、2002、谷本「NPOと企業の新しい関係」谷本・田尾編『NPOと事業』ミネルヴァ書房、2002.6.
同「NPOと企業」一橋大学商学部経営学部門編『経営学概論』税務経理協会、1999. 岡部一明『サンフランシスコ発:社会変革NPO』御茶ノ水書房、2000.
J.S.Ott, The Nature of the Nonprofit Sector, Westview, 2001
関連サイト:[インディペンデント・セクター]
http://www.independentsector.org [内閣府のNPOのページ] http://www.cao.go.jp
[日本NPOセンター] http://www.jnpoc.ne.jp
社会的企業家(NPO)を支えるアメリカの中間支援団体 [REDF:The Robert Enterprise Development
Fund] http://www.redf.org
社会志向型企業のネットワークアメリカ:[SVN:Social Venture Network] http://www.svn.org
日本:ETIC http://www.etic.or.jp
[SIJ(ソーシャル・イノベーション・ジャパン)]http://www.socioengine.co.jp/SIJ_index.htm
Ⅲ.企業とステイクホルダーのかかわり
(1)ステイクホルダー論(その位置づけ) 5/24
(2)ステイクホルダー・リレーションズⅠ(日本における従来の関係) 5/31
(3)ステイクホルダー・リレーションズⅡ(近年の変化と企業の戦略) 6/7
参考書:谷本(2002)第9章、第10章、第11章、谷本(2004)第1章、第2章、第12章
参考文献:谷本「企業社会論」一橋大学商学部経営学部門編『経営学概論』税務経理協会、1999.
関連サイト:[国連・グローバル・コンパクト] http://www.unglobalcompact.org、
[コー円卓会議の企業行動原則] http://www.cauxroundtable.org
[労働・人権に関する国際標準SA8000]
http://www.cepaa.org [Working Mother誌:働く女性のためのベスト100社]
http://workingmother.com
[Catalyst:職場における女性の地位向上を目指すNPO、Fortune500における女性取締役の調査] http://www.cataystwomen.org
日本経団連(企業行動憲章) http://www.keidanren.or.jp
経済同友会(第15回 企業白書『「市場の進化」と社会責任経営』)http://www.doyukai.or.jp/whitepaper/articles/no15.html
2005Gleneaglesサミットの公式サイト http://www.g8.gov.uk
2003Evianサミットの公式サイト http://www.g8.fr
* まとめと小レポート 6/14 →返却6/23,24,27まで:9時から17時(12時~1時はお昼休み)第2研究館1階の商学研究室にて
Ⅳ.企業評価のあり方
(1)社会的責任投資(Socially Responsible Investment:SRI)Ⅰ(SRIとは、現状)
6/21
(2)SRIⅡ(その意義と可能性)、 CSR調達 6/28
(3)トータルな企業評価(市場社会のメカニズム、企業評価の変化) 7/5
参考書:谷本(2002)第12章、第13章、結章、 谷本(2004)第11章、第13章
参考文献:谷本編著『SRI・社会的責任投資入門』日本経済新聞社、2003.6. R. Sparkes, Socially
Responsible Investment,Wiley, 2002. A.Domini, Socially Responsible
Investing, Dearborn, 2001(山本訳『社会的責任投資』木鐸社、2002) グリーン・コンシューマー全国ネットワーク『グリーン・コンシューマーになるための買い物ガイド』小学館、1999.
CEP, Shopping for a Better World, Serra Club Books, 1994.
CEP, The Corporate Report Card, Dutton,1998. C.J.Fombrun,
Reputation: realizing value from corporate image, HBS Pr.,1996.
関連サイト:[SIF:Social Investment Forum]
http://www.socialinvest.org [IRRC:Investor Responsibility
Research Center] http://www.irrc.org、
[KLD:Kinder,Lyndenberg,and Domini] http://www.kld.com
[Ethibel:The Ethibel Sustainability Index]http://www.ethibel.org/
[モーニングスター社会的責任投資株価指数]http://www.morningstar.co.jp/sri/index.htm
環境省「社会的責任投資に関する日米英3か国比較調査報告書」(2003年)
http://www.env.go.jp/policy/kinyu/rep_h1506/index.html
[Business Ethics誌:The Magazine of Corporate Responsibility](100
Best Corporate Citizens for 2004) http://www.business-ethics.com
[Reputation Institute] http://reputationinstitute.com
* まとめと小レポート 7/12
【テキスト、参考書等・入手方法】
谷本『企業社会のリコンストラクション』千倉書房、2002.
谷本編著『CSR経営』中央経済社、2004.
講義のほとんどの部分は上記の参考書に基づいているので参照するように。
【成績評価の方法】
講義期間中に行う2回のレポート形式によるテスト(45点×2)+ウェブ上での議論への参加度(10点)
【質問などの連絡先】
オフィスアワーは「火曜日15:00~16:00」 オフィスアワー以外の日に研究室に来る場合は事前にemailで確認すること。
【受講生に対する希望】
受講生は事前の準備をした上で受講すること。毎回の授業の前に、シラバスに指定された企業や団体のウエッブサイトをチェックしたり、資料を読んだりしてくること。漫然と授業を受け、レポートに適当な感想文を書いても評価しないので注意すること。
【シラバスに関する注意】
シラバスは、谷本研究室のウェブサイト上に公開している。http://tanimoto-office.jp/
ウェブ上のシラバスでは、関連サイトが直接リンクされている。またウェブ上のシラバスは授業の進行と共に進化していくので、今後はそちらを参照すること。
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