【学部・学年の指定】 全学 主に3・4年生を対象とする
【授業の目的・達成目標】
「ソーシャル・エンタープライズ」(社会的企業)という新しいビジネススタイルについて、それがグローバルに登場してきた背景と新しい可能性について理解することを目的とする。また最後には自らが社会的企業のビジネス・プランをつくることも目標としている。
【講義内容】
少子高齢化、障害者、女性、地球環境、貧困、ホームレス、青少年教育、コミュニティ再開発など、私たちは様々な社会的課題に直面している。こういった課題を「誰が」、「どのように」取り組んでいけばよいか、今新たな対応が求められている。これまでのように、政府か市場かという二者択一だけでは捉えきれない現状が広がり、サードセクターとしてNPO/NGOの存在が注目され、その役割に期待が集まってきた。もっともこのセクターだけが問題の解決を担えるわけではなく、3つのセクターのコラボレーションが求められている。さらに既存のセクターが既存の役割を担いながら協働するということにとどまらず、社会的課題に取り組む新しい動きが広がっている。社会的課題の解決をミッションとしてもち事業として取り組む新しい事業体、それが「社会的企業」である。
例えば、伝統的なチャリティー活動をベースとするのではなくビジネスの手法を取り入れ社会的事業に取り組むNPO、社会的課題の解決をミッションとし事業に取り組む株式会社など、社会的ミッションをもった新しい事業体を総称して社会的企業と捉えることができる。アメリカ、ヨーロッパ、日本、さらに途上国においても多様なスタイルの事業体が見られる。ソーシャル・エンタープライズは、様々な事業形態やスタイルで、ローカル/グローバル・コミュニティにおいて解決が求められている社会的課題に対して、市場や社会から資源を集め、新しい仕組みを提示したり、新しい社会サービスを提供したりすることを通してソーシャル・イノベーションを生み出している。こういった動向を理解していくことにする。
講義はおおむね次の4つのモジュールから組み立てていく予定にしている。
Ⅰ.社会的企業とは何か、Ⅱ.アメリカにおける動向、Ⅲ.イギリスの動向、Ⅳ.日本の動向
また講義の中で、社会的企業を立ち上げている起業家(有限会社ビッグイシュー日本代表佐野章二氏、並びに、株式会社ジャパンエリアマネジメント社長西本千尋氏)に来てもらい、直接その事業について語ってもらい、ディスカッションする機会をもつことも予定している。
【講義計画】
* イントロダクション (1回目:12:55~、2回目:13:40~) 4/11
Ⅰ ソーシャル・エンタープライズとは何か
(1) 基礎的な定義:テキスト第1章第2節 4/18
(2) 国際的な議論:テキスト第1章第3節 4/25
関連サイト:[社会的企業家のためのシュワブ財団] http://www.schwabfound.org
Ⅱ ソーシャル・エンタープライズの組織戦略
(1) 日本・アメリカの事例を通して
テキスト第1章第4節 第3章第3節 5/09
関連サイト:[Working Assets社オンライン・ジャーナル] www.workingforchange.com
[Aveda]http://aveda.aveda.com/
[Ben & Jerry’s Homemade]http://www.benjerry.com/
[Juma Ventures]http://www.jumaventures.org/
[Rubicon Programs]http://www.rubiconprograms.org/
[Newman’s Own]http://www.newmansown.com/
Ⅲ ソーシャル・ファイナンス
テキスト第5章 5/16
関連サイト:[Cooperative Bank]http://www.co-operativebank.co.uk/
[Deutsche Bank Microcredit Development Fund]http://www.communityuk.db.com/direct/cuk_micro_uk1.html
[Shore Bank Corporation]http://www.shorebankcorp.com
[Triodos Bank]http://www.triodos.com/
[CDFI Coalition] http://www.cdfi.org/compare.asp
[FDIC] http://www2.fdic.gov/crapes/
Ⅳ ソーシャル・イノベーション・クラスター
・SIクラスターとは何か、SFベイエリアの事例:テキスト第1章第5節+テキスト第3章第2節 5/23
関連サイト:[Business for Social Responsibility]http://www.bsr.org/
[Social Venture Network]http://www.svn.org
◆ まとめと小テスト 5/30
→返却6/7~6/9の間:9時~17時(12時~1時の昼休みを除く)第2研究館1階の商学研究室にて
Ⅴ イギリスの潮流
(1) 背景と事例:テキスト第6章 6/6
関連サイト:[BITC事例]http://www.bitc.org.uk/resources/case_studies/index.html
[Big Issue in Scotlandストリートペーパー発行部数]http://www.bigissuejapan.com/about/background2.htm
[Body Shop]http://www.thebodyshop.com/
[Café Direct]http://www.cafedirect.co.uk
[Community Action Network]http://www.can-online.org.uk/
[Spitalfields Small Business Association]http://www.ssba.info/
[Tower Colliery]http://www.minersadvice.co.uk/tower.htm
[Travel Matters]http://www.travelmatters.info/
[Trevaylor Hotel]http://www.trevaylorhotel.com/
[The Big Issue in London]http://www.bigissue.com/ [The Wise
Group]http://www.thewisegroup.co.uk/
Ⅵ 日本の潮流
(1) 背景:テキスト第7章 6/13
背景と(特活)北海道グリーンファンドの事例
関連サイト:[北海道グリーンファンド]http://www.h-greenfund.jp/
その他関連サイト:[特定非営利法人イー・エルダー]http://www.e-elder.jp
[㈱アットマークラーニング/(特活)日本ホームスクール支援協会]http://www.at-learn.co.jp
[(特活)ぱれっと/㈱ぱれっと]http://www.npo-palette.or.jp
[特定非営利活動法人ケア・センターやわらぎ]http://www.yawaragi.or.jp
[株式会社スワン]http://www.swanbakery.jp/
(アドレス更新)[特定非営利活動法人中部リサイクル運動市民の会]http://www.es-net.jp
[株式会社ネイチャースケープ]http://www.naturescape.co.jp
[特定非営利活動法人パブリックリソースセンター]http://www.public.or.jp[有限会社ビッグイシュー日本]http://www.bigissuejapan.com
[フェアトレードカンパニー株式会社]http://www.peopletree.co.jp
[特定非営利活動法人フローレンス]http://www.florence.or.jp
[社会福祉法人プロップ・ステーション]http://www.prop.or.jp
[株式会社ミチコーポレーション]http://www.michi-corp.com
[安全センター株式会社]http://www.anzen-1.co.jp/
[ソーシャル・イノベーション・ジャパン]http://www.socioengine.co.jp/SIJ_index.htm
(2) 事例ゲストスピーカー【有限会社ビッグイシュー日本 代表 佐野章二氏】 6/20
ホームレスによる雑誌販売を行う「ビッグイシュー日本」設立の背景、現状と課 題について40分ほど語ってもらい、その後ディスカッションを行います
関連サイト:http://www.bigissuejapan.com/
(3) 事例ゲストスピーカー【株式会社ジャパンエリアマネジメント 代表取締役社長 西本千尋氏】 6/27
まちづくりをミッションとする「ジャパンエリアマネジメント」設立の背景、現 状と課題について40分ほど語ってもらい、その後ディスカッションを行います
関連サイト:http://areamanagement.jp/
Ⅶ 今後の課題:テキスト第8章 (小レポートについての説明) 7/4
◆ まとめと小レポート 7/11
→返却7/19~7/21の間:9時~17時(12時~1時の昼休みを除く)第2研究館1階の商学研究室にて
【テキスト・入手方法】
テキスト:谷本編著『ソーシャル・エンタープライズ―社会的企業の台頭―』中央経済社、2006.(生協にて各自購入のこと)
【成績評価の方法】
講義期間中に行う1回の小テストと、最終日の小レポートの評価の合計によって評価する。50点×2 (持ち込み不可)
1回目は、それまでのまとめとしての中間試験。5/30
2回目は、ソーシャル・ビジネス・プランを提案する形での小レポートをまとめる。7/11
【成績評価基準の内容】
テストの評価基準(かっこ内は100点換算で見た場合の目安)
A:きわめて優秀。Bの基準をクリアし、さらに突っ込んで自ら調べたことを含めて考察を展開している。(85点以上を目安とする)
B:優秀。テキスト・参考文献や関連サイトに目を通し、テーマについて自分なりのまとめをしている。(75点以上を目安とする)
C:望ましい水準に達している。講義を理解し、テーマの基本線はおさえている。(65点以上を目安とする)
【授業を通してソーシャル・エンタープライズの動向を理解し、その背景、可能性・課題について基礎的な理解を得ているかどうかがポイント】
D:望ましい水準には不十分だが落第ではない。断片的にテーマに触れているだけ、テキストやノートの要約以上のものが見られない。(55点以上を目安とする)
F:落第。テーマからずれている、あるいは講義の主旨趣旨を踏まえていない(54点以下を目安とする)
【質問などの連絡先】
オフィスアワーは「月曜日13:00~14:00」 オフィスアワー以外の日に研究室に来る場合は事前にemailで確認すること。質問がある場合はcc00331@srv.cc.hit-u.ac.jpまで。
【受講生に対する希望】
受講生は事前の準備をした上で受講すること。毎回の授業の前に、指示された企業や団体のウエッブサイトをチェックしたり、資料を読んだりしてくること。毎回出席をとって授業にしばるようなことはしないが、授業での議論や問題提起を踏まえることなく、テストやレポートで適当な思いつきを書いても評価しないので注意すること。
|