| 1.授業概要企業の経済活動は、社会・政治・文化・国際関係といった領域と相互作用的にかかわっている。企業は経済的システムであると同時に、社会的・政治的システムとしても大きな役割と影響力をもった存在となっている。本講義では、企業を社会、ステイクホルダーとの相互関係の中で捉え、そのインターフェイスにおいて生じている問題群を扱う。90年代以降、企業と社会の関係はローカル/グローバル・レベルにおいて変化している。講義では、時代の潮流、最近の動きを追いながら、その経営課題、政策課題について考えていく。また企業と社会の関係を考えていく上で重要なプレイヤーになりつつあるNPO/NGO、さらにソーシャル・エンタープライズ(社会的企業)についても講義の中で扱うことにする。
 2.学部・学年の指定 全学 主に3・4年生を対象とする
 3.授業の目的・到達目標と方法 「企業と社会(business and society)」という領域に関して基礎的な知識・理論を学んだ上で、持続可能な企業社会を構築していくにあたり今解決が求められている諸課題について自分なりの考えをもてるようにすること。
 4.講義内容・計画講義は概ね6つのモジュールから組み立て、以下のスケジュールで進めていく予定である。
 ◆ イントロダクション (1回目:10:35~、2回目:11:20~) 10/2
 【Ⅰ】企業とは何か:まず企業をどのように捉えるか、社会との関係をどのように捉えるか。その視点と基礎的な考え方の整理を行うことから本講義はスタートする。○ 会社は誰のものか、誰のためのものか
 テキスト:第1章
 【Ⅱ】企業とステイクホルダーの関係:企業とステイクホルダー(投資家/株主、消費者/顧客、従業員/労組、NPO/NGO、環境、地域社会、政府など)とのかかわりをどのように捉えるか理論的な整理と、日本における企業社会の構造を概観する。○ ステイクホルダー理論
 ○ 日本の企業社会の構造
 ○ その変化
 テキスト:第1章、第4章
 【Ⅲ】企業の社会的責任とは:今グローバルに議論されているCSRについて、その背景、理論、課題について考える。講義の中で、実際にCSR経営に携わっている企業の担当者に直接語ってもらい、ディスカッションできる機会をもつことも予定している。○ CSRとは何か、基本定義と背景
 ○ グローバリゼーションの進展とCSR
 ○ 今後の課題(ミクロ、マクロ、インターミディアリー・レベルでの課題)
 ○ 事例研究1:金融機関・・・ゲストスピーカー=野村ホールディングス、コーポレート・シティズンシップ推進室長 山川敦子氏 
                    11/6
 関連サイト:「野村ホールディングス] http://www.nomura.com/jp
 ○ 事例研究2:ITメーカー・・・ゲストスピーカー=NEC CSR推進本部 CS推進部長 兼 CSR推進室長/社会貢献室長 
                    鈴木 均氏 11/9
 関連サイト:「NEC]  http://www.nec.co.jp
 ○ ISO/SR規格(ISO26000)の動向・・・ゲストスピーカー=ISO日本エキスパート、
 損害保険ジャパン CSR・環境推進室長 関 正雄氏 11/13
 関連サイト:[損害保険ジャパン] /http://www.sompo-japan.co.jp/
 
 関連サイト:
 [ISO/SR] http://www.iso.org/sr
 [Business for Social Responsibility](アメリカ) http://www.bsr.org/
 [AccountAbility](イギリス) http://www.accountability21.net/
 [CSR Europe] http://www.csreurope.org/
 [グローバルコンパクト] http://www.unglobalcompact.org/
 テキスト:第2章、第5章、第6章
 ◆ まとめと中間テスト 11/16→返却:11/27(火)~11/30(金)、9時~17時(昼休み12~13時を除く)
 第2研究館1階の商学研究室にて
 【Ⅳ】NPO/NGOとは何か:日本でもここ10年の間に成長してきたNPOについて、その背景、機能、理論について考える。さらにNPOと企業とのコラボレーションについても事例を通して考える。○ NPOの現状と理論
 ○ NPOと企業組織の比較
 ○ NPOと企業のコラボレーション
 日本NPOセンター
 関連サイト:[内閣府NPOホームページ] 
                    http://www.npo-homepage.go.jp/
 [日本NPOセンター] http://www.jnpoc.ne.jp
 参考書:『NPOと事業』ミネルヴァ書房、序章、第1章
 ・谷本「企業とNPOのフォア・フロント」奥林他編『NPOと経営学』中央経済社、2002.
 ・谷本「NPOのリスクマネジメントを考える―事後的対応から価値創造へ―」『NPOジャーナル』10号、2005.7.
 
 
 
 【Ⅴ】ソーシャル・エンタープライズ:社会的課題の解決にビジネスの手法を活用して取り組む社会的企業について考える。講義の中で、社会的事業を立ち上げている企業家(ソーシャル・アントレプレナー)に直接その事業について語ってもらい、ディスカッションできる機会をもつことも予定している。○ ソーシャル・エンタープライズとは その定義と理論
 ○ 事例研究1:(株)ミチコーポレーション 社長 植田紘栄志氏 12/7 <インタビュー>
 関連サイト:[(株)ミチコーポレーション] http://www.michi-corp.com
 関連サイト:[World Challenge] 
                    http://www.theworldchallenge.co.uk/
 ○ 事例研究2:(特活)イー・エルダー 理事長 鈴木政孝氏 12/11
 関連サイト:[(特活)イー・エルダー] 
                    http://www.e-elder.jp
 ○ ソーシャル・エンタープライズの可能性と課題について ディスカッション 12/14
 
 ソーシャル・イノベーション・ジャパン
 関連サイト:[ ソーシャル・イノベーション・ジャパン] 
                     http://www.socialinnovationjapan.org/
 関連サイト:[Social Venture Network] http://www.svn.org/
 参考書:『ソーシャル・エンタープライズ』中央経済社、第1章、第7章
 【Ⅵ】企業評価のあり方:企業が環境、社会に対して責任を求められる市場社会が形成されてくるに従い、企業評価のあり方も変化しつつある。企業の非財務的な側面をどのように捉えれば良いかを考える。社会的責任投資(SRI)、責任投資原則(PRI)、レピュテーションといったテーマが取り上げられる。○ 企業評価の新しいあり方
 ○ SRIとは何か
 ○ SRIの動向
 ○ 事例研究1:金融機関の現状:住友信託銀行 企画部CSR担当部長 金井司氏 1/15
 関連サイト:[住友信託銀行]  
                    http://www.sumitomotrust.co.jp/
 
 関連サイト:
 [SIF](アメリカ) http://www.socialinvest.org/
 [ASrIA](ホンコン) http://www.asria.org/
 [UKSIF](イギリス) http://www.uksif.org/
 [EuroSIF] http://www.eurosif.info/
 [PRI] http://www.unpri.org/
 [モーニングスターSRI-Index](日本) 
                    http://www.morningstar.co.jp/sri/index.htm
 テキスト:第3章
 ◆ まとめと期末テスト 1/25→返却:2/4(月)~2/8(金)、9時~17時(昼休み12時~13時を除く)
 第2研究館1階の商学研究室にて
 
 5.テキスト、参考書等・入手方法テキスト:谷本著『CSR-企業と社会を考える』NTT出版、2006.(各自購入)
 参考書:谷本編著『ソーシャル・エンタープライズ-社会的企業の台頭-』中央経済社、2006.
 谷本編著『NPOと事業』ミネルヴァ書房、2002.
 またモジュール毎の詳細な参考書や関連サイトなどはウェブ上のシラバスを参照のこと。
 6.成績評価の方法講義期間中に行う2回のテスト(45点×2)(病欠等以外の欠席は認めないので注意),プラス平常点(10点)の合計で評価する。1回目はそこまでのまとめ・確認としての中間試験を11月に予定。2回目は冬学期全体のまとめとして最終日に予定。
 7.成績評価基準の内容テストの評価基準(かっこ内は100点換算で見た場合の目安)
 A:きわめて優秀。Bの基準をクリアし、さらに突っ込んで自ら調べたことを含めて考察を展開している。(85点以上を目安とする)
 B:優秀。テキスト・参考文献や関連サイトに目を通し、テーマについて自分なりのまとめをしている。(75点以上を目安とする)
 C:望ましい水準に達している。講義を理解し、テーマの基本線はおさえている。(65点以上を目安とする)
 【企業と社会の関係、その動向について理解し、今後の課題について基礎的な理解を得ているかどうかがポイント】
 D:望ましい水準には不十分だが落第ではない。断片的にテーマに触れているだけ、テキストやノートの要約以上のものが見られない。(55点以上を目安とする)
 F:落第。テーマからずれている、あるいは講義の主旨趣旨を踏まえていない(54点以下を目安とする)
 8.受講生に対するメッセージ受講生は事前の準備をした上で受講すること。毎回の授業の前に、シラバスに指定された企業や団体のウエッブサイトをチェックしたり、資料を読んだりしてくること。漫然と授業を受け、テストに適当な「感想文」を書いても評価しないので注意すること。
 9.連絡先・オフィスアワーオフィスアワーは「月曜日13:00~14:00」 どうしてもオフィスアワー以外の日に研究室に来たい場合は事前にemailで確認すること。質問がある場合はtanimotolabo@obata.misc.hit-u.ac.jpまで。
 10.その他このシラバスは授業の進行とともに進化していくので、適時参照すること。また開講初日には必ず出席すること。
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